東日本大震災復興支援学生ワークショップ成果報告会 20120501/2

日本造園学会では昨年の9月4日〜7日にかけて、ランドスケープを学ぶ全国の学生が集い、宮城県南三陸町の復興の将来像を考えるワークショップを行いました。九大芸工、大阪府大、神戸芸工、宮城大のTeam4は志津川地区を担当し、この度、5月2日に登米市南方仮設住宅第一集会所で報告を行いました。その他、歌津地区、戸倉地区でも他Teamと共に実施しています。下記に、簡単に写真で紹介します。
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現地の宿泊は入谷地区の「さんさん館」という小学校の閉校舎を利用した宿泊施設に滞在しました。このような校舎の再生事例としては有名な場所で、古い小学校の面影を残しており、小学生の小さな机と、畳敷きの気持ちの良い部屋で過ごすことができました。

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私共の報告会場は、南三陸応急仮設住宅みなみかた第一集会所

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資料を配布し、スライドを用い、約20数名の地元の方々にご報告し、後は学生との懇談の場を設けました。学生の話によれば、地元の方々の次のようなお言葉が印象に残ったとの事でした。

・「『「まさか」と「もしも」の違いは大きい。今回の津波で「まさかここまで津波は来ないだろう」と思った人は逃げ遅れ、「もしもここまで波が来たら」と行動した人は助かった。』」とのこと。多くの方が、被災された時の模様のお話をされました。
・「これ具体化したら最高だね。(中略)今日の良い部分は、山のくらいありますんで、それを失くしたくない。できれば皆に聞いてもらいたい。当事者たちは客観的に見られないんですよ。今、今という切羽詰った状態で余裕がないから。」地元の方々からはこのような意見に加え、一方で、「学生の提案は、まったく意味をなさないんだよ。地元に残るかどうかも分からないし、漁師の生活をもっと知ってもらわなければ」というご指摘もありました。
・防災庁舎を残し公園化し、記憶を継承する施設の提案に対しては「残したいという方と残したくないという方が半々だと思います。でも、あそこに残さないでね、さら地にしたら場所がどこがどこだか本当に分からなくなると思うんですよ。」と両極のご意見をいただきました。記憶を風化させない提案が求められていました。
・干潟再生の提案については「想像もつかないよね。干潟があんなに広がる風景。そしたらね、天国だね。もとの形みたいにね。」という感想を頂きました。一方で、「いつも魚介類が採れるとは限らない。うみの生活だけでなく、陸のもの、山のものを活用したバランスのとれた生活、まちづくり」の必要性についてコメントをいただきました。

これからの志津川について、今、親は避難所生活であり、高校生は外に出ていかなければならない。「志津川が良くなった」と帰ってこられる場所。夢のある町に向けたビジョンが必要とされている。

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戸倉神社には幟がはためいていました。京都福知山・大原神社の氏子さん方が支援されたようです。被災の中で、今後、お宮の年中行事が継続できるかも分からない現状だそうです。

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目に見える復興は、半年前と比べてもあまり進んでいません。しかしながら、海には船と筏がならび、ワカメの養殖も始められていました。
 今後、造園学会学生ワークショップはPhase4として、各大学が支援プラットフォームを形成し、情報を交換しながら活動を進める予定にしております。九州大学芸術工学部環境設計学科の教育・研究は、これらの支援の可能性について、潜在力があると思います。今後、学生の積極的な関わりを求めていく予定です。(朝廣)


BTCVからTCVへ

5/1より英国のBTCV(British Trust for Conservation Voluneer)は、TCV(The Conservation Voliunteer) に名称が変更されました。少々複雑な以前の名称から、ボランティアと地域の努力により特別な緑の場所を増やすという視点の明確化を目指したようです。国際部サイトのTOPは、 は、数年前、福岡県八女市黒木町で行われた国際・里山田園保全ワーキングホリデーの写真ですよ〜。宮園さん大橋さんにくわえ、鬼頭さんと山崎君が写っているから、10年前かな・・・

デザイン教育のススメ

表紙2012年3月に九州大学 大学院芸術工学研究院の著作で花書院より、「デザイン教育のススメ 〜体験・実践型コミュニケーションに学ぶ〜」を出版しました。これは、本学の教育の質向上支援プログラム(Enhanced Education Program 通称EEP)の事業報告としての位置づけで、主にデザイン教育の事例集です。

私は、この芸工EEPのプログラム代表を担いました。「デザイン教育がさらに貢献できるのではないだろうか?」平成20年に文部科学省中央教育審議会が答申した「学士課程教育の構築に向けて」では、生活スキルの向上が求められました。実は、私達の実施しているデザイン教育は、文化社会の知識にとどまらず、コミュニケーションや課題解決、チームワークや倫理観、総合的な学習経験と創造的思考力を育んでいるのです。

一方で、私達の課題も感じてきました。九州芸術工科大学の小池新二初代学長は「discipline相互のintegrationの成功の可否が、大学レベルに登場したデザイン教育のkey pointである」と述べている。しかしながら、私達は同僚の行う教育の中身にさえ不案内であり、そのような相互連携を生み出すためには、まず、お互いの教育内容を知ることから始めるしかない。本書は、研究を軸に進められる大学改革の中で、特にデザイナーを養成する役割を担う芸術工学のデザイン教育の今後のあり方を問うものである。ぜひ、ご購入下さい。
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縮小社会スタディ, Spain 20120313-23

今年度は、縮小社会のデザインを考えるため、福岡県八女市黒木町大淵とスペインのアラゴン州, ウェスカの比較研究を進めています。現在、後者のEmbunという集落調査を続けており、少し、写真で紹介します。

(アラゴン誌の記事です。AltoAragon,21 Mar, Embun becomes a reference to survive the depopulatio)

Embun、ピレネー山脈の南麓にある小さな集落。橋を渡って坂を登る立地は、アラゴン王国の要塞を彷彿とさせる佇まいです。以前も紹介しましたが、このウェスカ地域は、周辺都市における1960〜70年代の工業化に伴い急速に人口減少が進んだ事で有名です。Embunは近隣都市のJacaから20km以上離れた中山間地域であり、このような限界集落の条件を要する集落で、どのように持続的な暮らしが模索されているのか、その限界性と持続性の要因を探すのが本研究の目的です。

今回の調査の特徴の1つは、世帯の基礎調査を基本としている点です。その情報から、建築や家庭菜園、農業等の歴史、暮らし、ハード、ソフトの情報について、1軒1軒、各世帯を訪ねながら毎日調査を続け、データを積み上げています。
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さて、この土地は雨量が少なく古くからの牧畜と山間での小麦の生産、薪の採取などから土地が痩せ、比較的、荒涼とした景観が広がっています。川沿いに牧草地とポプラの緑がありますが、斜面はBojと呼ばれる低木が点在する斜面と、マツの植林された山が多く見られます。
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若者の多くが、近くに仕事がないために町に出て、広場には高齢者が佇み、会話をする様子を目にします。高齢者に訪ねると、毎週、お医者さんとソーシャルワーカーが来るので、特に問題はないという声を聞く中で、昨年11月に訪ねた時は、高齢者のみの持続的な生活環境に特徴を感じていました。

しかしながら、各世帯への聞き取りを行い、森林保安官と周囲を廻り、週末のEmbunを過ごす中で、福岡の中山間地とは違う、この集落の極めて力強い暮らし方を感じています。子供世代は毎週のように実家に帰り、教会で行われるミサや冠婚葬祭に参加します。広場やBarでは、帰郷した子供を含め様々な会話が繰り広げられているようです。なんとか仕事を見つけた子育て世代は、子供達をスクールバスに乗せ、古い家を改装し、多様な仕事をこなしています。非農家の比率が高いですが、多くの家庭が家庭菜園を有し、様々な作物を育て、ウサギやニワトリを食用に飼っている家もあります。景観は、一見荒涼としていますが、イノシシや野生ヤギの狩猟、川釣り、キノコ狩りが広く行われ、散策やバードウォッチングもされています。農家は数軒と少ないですが、現在でもヒツジを共有地(自治体へ移管)に放牧し、高地と低地を行き来する伝統的な畜産業が営まれています。地元の人々は実に周囲の自然と多様な関わりを有しています。

今日は、Barに模造紙を張り、「この集落の良い点は何ですか?」という質問に対し、付箋紙で意見を寄せてもらいました。アラゴンTVの取材班が入ったこともありますが、ちょっとした賑わいになり、店員さんと子供たちの協力もあり、たくさんの意見をいただくことができました。少し、私たちの滞在を喜んでもらえた、そのような場が醸成できたことも、私の驚きでした。
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若者が出ていくという人口減少の圧力に対し、この集落は家族と地域のアイデンティティを守り育みつつ今を迎えている。高齢者、中堅、女性の鍵となる様々な新旧の社会活動がそれを支えており、そのコミュニケーションを実現できる人・建築・自然の空間密度の絶妙に、1つの解を見ているような気がしています。

健康と緑の休日

2011AW_Minami_ku.jpg【2012年 春-夏版】 掲載情報募集! 
健康と緑の休日リーフレット

地域の方、一般の方が参加可能な、福岡市南区で行うウォーク系、園芸系、自然観察系、里山保全系の皆様の活動広報情報をお寄せください。試行的に共同リーフレットの作成を行います。デジタルフォームは、こちらから入手できます。

2012年春夏版は3月1日まで募集します。

また、交流サイトとして「福岡市南区 健康と緑の休日」のFacebookページを作成しました。リアルタイムの活動情報や交流はこちらへ!


パートナーシップで自然歩道を守る

チラシTOP講演会の報告です。
JCVN(NPO法人日本環境保全ボランティアネットワーク)主催の「リーダーミーティング『パートナーシップで自然歩道を守る』」が、2012年2月11日(土・祝)に開催されました。
話者として、環境省のレンジャーとして阿蘇の草原の保全再生、八重山のサンゴ礁の保全再生に取り組まれてきた、鹿児島大学特任准教授の岡野隆宏先生に、「九州自然歩道を歩いてみると」というテーマで基調講演をいただきました。ウォーキングの人気の高さや九州自然歩道の魅力と管理の問題について詳細にご報告いただきました。

私が、特に印象に残ったのは、「アパラチアントレイルを歩く人々を地域の人は尊敬のまなざしを持って接している。」(参考文献:加藤 則芳 (著),メインの森をめざして-アパラチアン・トレイル3500キロを歩く)という点でした。

山や川の自然へのアクセスだけでなく、この少子高齢化の時代、地縁が支えてきた農山村へのアクセスを考えることは大変重要です。私たちは、農山村の暮らしの「道」(文化・歴史)にどのようなまなざしを向けているだろうか。今後、どのような道を繋ぐのか、このような視点も重要だと感じました。

また、自然歩道の位置づけの低下→管理レベルの低下→利用者の減少という負のスパイラルが続く中で、リーダーシップが欠如している御指摘も、現状をよく表現されていると考えられます。

私からは、英国のフットパスの紹介、小森君からは、山村塾の散策路づくりの紹介を行いました。
散策路づくりを通して、農山村や自然へのまなざしを養い、道の管理を進めていくことは、今後、日本が取り組まなければならない大きな課題です。

後半の、ワールドカフェで、私のテーブルでは、「若者参加の欠如」が話題になりました。事業の推進では、会員メンバーや、参加してもらいたい若者や市民のニーズに活動をマッチングさせていく必要があります。今回のミーティングは、今後の「道」のつなぎ方を考える良いきっかけになりました。


 JCVNのサイトはこちら

福岡市南区&環境保全論

2011AW_Minami_ku.jpg九大芸工と福岡市南区は共同研究を継続しており、自然系は右の「健康と緑のリーフレット」づくりを進め、ウォーキングや園芸、里山保全などの活動へのアクセスづくりを進めています。(リーフレットはこちら

とは言え、欧米のように、このような活動に気軽に参加する土壌は、まだまだ未開発のような気がしています。忙しくて時間がないという面もありますが、地域活動や学校活動が中心であり、余暇や観光として位置づいてはいません。

米国のConservation Corpsでは(10月の報告はこちら)教育として奉仕活動を実施されています。若者のGreen Pathを開発するには、そのような仕組みが必要だということでした。

そこで、私が環境設計学科の2年生後期に開講している「環境保全論」の学外実習として、このリーフレットに掲載されている団体と連携し、活動への参加を行うことにしました。ポイントは、10人ずつにグループ化し、授業ですので私が引率して参加、レポートの提出を義務付けています。活動風景を少し、紹介していきます。

(12月11日)この日は、「福岡市油山自然観察の森のアカマツ林整備、アカマツ林調査」をテーマとし、「森を育てる会」の協力をいただきました。班を2つに分け、1つの班はアカマツ林の落ち葉かきと草本類の除去、もう1班は、調査区内に出現しているアカマツの実生の本数計測を実施しました。アカマツは陽樹のため、他の広葉樹種や草本類が繁茂すると実生が育ち成林することはありません。燃料革命以前、燃料や緑肥として落ち葉かきや柴刈が行われていた時代は、全国的に松林が多く分布していました。マツノザイセン虫の影響も大きいのですが、生産価値が失われたことがアカマツ林消失の大きな理由です。この日は、学生が参加したことで、かなりの作業量をこなすことができたと会の方からお礼の言葉がありました。学生にとっても、講義の中で説明した植生遷移等の内容の理解が深まったと思われます。私の印象として、森を育てる会の運営力、解説力、チームワーク力などなど、より充実されていると感じました。あとは、マンパワーということであれば、やはり、米国のように連携事業の強化が今後の課題と考えられます。あちらでいえば、このような活動は、まさにFee for serviceの対象であり、市が、どのように位置づけられているのかは今後知りたいところです。(当日の森会ブログはこちら, ふく森はこちら
景観保全の教科書に紹介されていたナショナルトラストのこの言葉‘Preservation may always permit of access, while without preservation access becomes forever impossible.’(John Bailey, Chairman of the National rust from 1923 to 1931.)が思い浮かび、このような二次的資源の持続的な保全には、人々のアクセス強化が必要であると感じられます。
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(11月29日)この日は、「西鉄大橋駅前花壇デザインワークショップ」をテーマとし、緑の団体である「園芸福祉ふくおネット」と「地域に花を咲かせよう会」の協力をいただきました。午前中のみですが、大橋駅前植え込みの見学を「景観」「植栽」「安全性」のグループに分かれ、その良さと課題を見て回りました。研究室に戻り、課題の整理と共にロータリーのデザインについて、アイデアを出し合いました。

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今回、私がNPOと連携して授業として「相手の活動に参加しに行く」のは、はじめてのことです。これまでは、非常勤講師を招き、インタープリテーションをしてもらったり、新入生合宿研修の様に、連携NPOときっちりプログラムを組みたてるタイプが中心でした。しかしながら、「環境保全を目指した市民活動の現場」について知るには、そのフィールドで、活動されている人の指導のもとに経験した方が、高い学習成果を得られると考えられます。

大橋駅前では、福岡市が認定している「緑のコーディネイター」のコーディネイションのもと、副都心?の顔にもかかわらず、雑草の覆う駅前の植え込みでの活動を設定いただきました。学生にとっては一時の体験かもしれませんが、進めながら考える街づくりデザインについて、気付きになればと感じています。

冬 (201111)

福岡もやっと寒くなってきました。うちは暖炉に火を入れ薪と火の管理が始まります。
子供に「クリスマスの準備・・・」とせがまれましたが、例年、ツリーを買うかどうか決断できずに年数が経ちました。今年は薪を割ってローブでぶら下げ、灯りを巻きつけました。
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Zaragoza, Spain (2011.11)

今回、山村の人口減少社会の研究のために、スペインのアラゴン地域のサラゴサ(Zaragoza)に来ています。バルセロナとマドリッドの中間地に位置し、昔から流通の拠点として発展した街です。北にフランスとの国境であるピレネー山脈が東西に連なり、南側はIberian Cordilleraの山脈があり上下を挟まれた地域です。この地域の山間集落は、大都市に囲まれた影響を受け、1970年代の近代化により、スペインの中でも特に人口減少の影響を受けたといわれています。集落が労働の提供地となっただけでなく、水力発電等を目的としたダム建設は、谷あいの集落や冬の牧草地として不可欠な多くの農村地域が失われたといわれています。今後、日本の集落との比較研究を通じて、農山村の持続性について研究を進める予定です。少し、現地の様子をお伝えします。

サラゴサ駅、2008年に博覧会が行われており、駅舎は斬新な屋根の形態をしています。右は紀元40年からの言い伝えを持つピラール広場とピラール聖母教会です。イスラム、バロック、ゴシックなど様々な様式が組み合わされており、建造の歴史が感じられます。
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さて、今回、地元とつないでいただいたのは、サラゴサ大学経済・経済史学科のProf. Vincente Pinilla先生です。在外中のハエン大学の友人の紹介の紹介で、スペインの人口減少研究の先生に支援をいただくことができました。
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訪れたいくつかの集落の印象をメモします。
Sahun。標高1100m、フランスとの国境に近い山村集落です。一般的に、どこの集落も、1970年代の近代化やフランコ政権の政策により、都市への移住が進んだようです。その後、周辺都市への通勤の可否や、産業配置の違いにより、集落の状況が異なるように感じました。この集落は、スキーリゾートとの関係を有しており、次世代の居住も進んでいるようです。
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Ranin。この集落の登録世帯は僅か6世帯。ですが生活は滞りないようでした。集落の中にはRural tourismへ貸し出す家が数軒あり、公園や教会、村の中は、地域の方々でお花の維持や清掃、日々の営みがなされていました。最低限の公共サービスは維持されており、集落が存続しているようでした。
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Tierrantona。上記のRaninを含む集落のMayorにお話を伺いました。近代化により人口の減少は進みましたが、農地の集約化を進める中で、農家経営のバランスは取れるようになったとのことでした。しかしながら、ダムに沈んだ集落を含め、下記のような傾斜のある山間の棚畑地帯の数集落は、生活している煙はところどころあるものの、消滅集落として位置付けられていました。
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なお、Santa Ciliaで農家のお話を聞くことができましたが、とに角、スペインには、このキツイ農業を継承する若者が少ないことを嘆かれていました。ルーマニア、アルメニア、北アフリカからの移民に頼る面が多く、大きな課題のようです。

 山林の多くは公有地、もしくは個人所有で、遅いところは1990年代まで、薪の採取などに利用されていたようです。それらの利用が失われる中で、環境の観点から自然公園化など、公的機関による保全が行われているようです。
ウエスカ北部のいくつかの人口減少の農山村を見てきましたが、近代化による影響は、フランコ政権の影響があったとはいえ、社会的減少を生じた点については、共通です。また、1970年代以降、農業の集約化により、農山村の都市化が進んだ点も共通しています。降水量や畜産業など、私どもの対象としている日本の棚田地帯という自然環境、農という生活文化の違いはあるものの、農村の高齢者の平穏な暮らしぶりは抑えるべき点があります。ここで特に感じたのは、住、農、林が生活や産業の中で独立し、切り離されることにより、それぞれの持続性が担保されているように感じられました。良し悪しは別として、1つのポイントだと思います。日本の場合、農業の集約化は進められますが、労働集約型の集落営農も必要であり、農村=農業という点が切りはなせません。一方で、農業以外のTourismの振興は、空き家の整備等を含め立ち遅れており、また、山林も森林環境税などで間伐の推進を進めていますが、管理できない山林の環境林への移行という観点は将来の課題です。
 
スペインと日本の比較研究。近代化への対応の中で、共通的な観点を有しながらも、農山村と自然環境は一体であり、各集落の違いの保全が持続性には大切であると感じました。この両者の特定と強化が、今後の研究課題であると思われます。

 本当に、スペインの農業はルーマニアや北アフリカの移民が中心となって担うのでしょうか? これは少なからず、日本の直面している課題でもあります。TPPの議論が進んでいますが、既に多民族国家となった欧米と同一に考えるには、国や行政の施策が遅れすぎであり、言語を含め地域の対応も時間が必要です。農村は農業施策だけでなく、空間と時間の計画論を導入しなければ、今後の維持は難しいのではないでしょうか。循環型の里地・里山の保全には、まだまだ大きな課題が山積しています。

連続講座   『森とツナガル暮らし 〜きのう・きょう・あした〜』

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【報告】昨日は、昼に【2】キープ自然学校の小西 貴士さん、夜は、九州大学の森林政策専門の佐藤宣子先生の講演が行われました。まったく異なる2つの講演でしたが、いずれも素晴らしい内容でした。少し、メモします。
<こどもと森にでかけてみれば>写真家、保育者としてご活躍の小西さん。スライドショーという形式で、最近、森で起きた子供との出来事を通じ、「こどもが、こどもを、生きています。」というメッセージを感動的に伝えていただきました。
・心持ち:倉橋惣三、育ての心(上)を引用され、子供には、みな心持ちがあること。森は、その素材にあふれた場所であることを再認識しました。
・子どもと一緒に仰ぐもの:「田舎だからできるよね」と片づけられることが多いが、大人が子供と一緒に何かを仰ぐ時間、仰ぐものがあることは、大切であるということを最後に教えていただきました。
小西さんの写真を見ながら、「私は、ここまで子供や自然と接してきただろうか」と考えさせられました。自然と触れる子供の手の写真に、この子らの心持ちや自然、大人との時間が繊細に表現されていました。右の本は、おススメですゴリ(小西貴志)の森のようちえん日記はこちら。
それにしても、キープ自然学校のインタープリテーション力の強さはすごい。経験の量と質の違いが感じられる。九州と関東の違いとはいえ、学ぶべきことが多い。
<ふくおかの森と私たちのくらし 〜森林環境税から考える〜>
佐藤先生からは、全国・九州の森林環境税の比較研究を通じて、税収入や仕組み、考え方の違いが良く理解できました。私は、福岡県について、他県に比較し豊富な税収を元に、間伐の遅れている人工林の管理が進んだことは良かったように思います。一方、市町村や生産者は、森の将来像をどう描いているのか、この点が不明であり、環境税を2割間伐にとどめた点は、応急措置であり、今後の大きな課題であると感じました。裏返せば、県税でありながら、市町村が計画できるという福岡県の仕組みのメリットも浮き彫りになったような気がします。佐藤先生は、例えば対馬で「ヤマネコ林」というような森の将来像の表現が、今後、あり得る可能性がある点に触れられました。景観行政は、基本的に市町村に任されており、専門職員の不足はあるかもしれませんが、市町村が森林計画を考え、環境税を活かしながら地域の森づくりを進められる可能性があることは、中長期的に見て、望ましいと考えられます。なお、福岡県は筑後川から水を引いており、環境税の広域的な利用については、ぜひ、ご検討いただきたいような気がします。私達も、このような観点を踏まえた上で、地域環境の保全について考えていきたいと思います。

fukumori.jpg【告知】さて、10月から恒例の「ふくおか森づくりネットワーク」の連続講座がはじまります。今年は、「新しい森とツナガル暮らし」をテーマに下記のような講師陣とプログラムとなりました。

詳細サイトはこちら:連続講座   『森とツナガル暮らし 〜きのう・きょう・あした〜』
チラシはこちら(PDF)

今、シアトルにいるのであれですが、10月12日の塚本氏は、シアトルのEarthCorpsで1999年に1年間サービス活動に参加された数名の日本人経験者の1人。日本にConservation Corps活動を導入されている唯一のパイオニアです。今後の日本のサービス活動形態の1つのパイロットモデルであり、福岡で聞ける貴重な機会です。

11月9日の小西氏は、信州の清里、キープ協会で「森の幼稚園」などの活動を実践されている方です。本ブログでもキープ協会の紹介をしましたが、戦前・戦後にポールラッシュ氏が青年教育と農村開発、環境教育を目指して設立された日本を代表する拠点施設です。大変、お忙しい方で、福岡で聞ける貴重な機会です。森と子供の接点ですので、お母さん方にもお勧めです。時間は午前中で幼児の預かりも可能です。

同日の夕方は、佐藤宣子先生に、わかりやすく、私たちの暮らしと森のツナガリ方を御講演いただく予定です。木の使い方から森林環境税まで、森林環境の保全に、私達がどのように貢献できるのか。専門家の視点からお話しいただけます。そして、最終日は、現地見学です。普段は人の目に触れることはない森づくりの現場を見ることができます。

今回は、敢えて多様な講師陣をお招きしました。暮しの多様化が進む中、新しい森との繋がり方を考えていく必要があります。ぜひ、お時間のある方は、ご参加ください。

【1】シンポジウム
『若者の力をいかに引き出すか?』
〜若者の共同生活を通じた環境保全とひきこもり支援、震災復興支援への応用〜

日時:10月12日(水) 18:30〜20:30 

講師:塚本竜也さん(NPO法人トチギ環境未来基地理事長など


【2】トーク&スライドショウ
『子どもと森へ出かけてみれば』

日時:11月9日(水) 10:00〜12:00

講師:小西 貴士 さん(キープ自然学校)

【3】シンポジウム
『ふくおかの森と私たちのくらし』

日時:11月9日(水) 18:30〜20:30

講師:佐藤 宣子 さん(九州大学大学院農学研究院 教授)

【4】現地ツアー
『森林環境税の山を見に行く』

日時:11月19日(土) 9:00〜15:30

講師・案内:福岡市森林組合
アドバイザー:木村莢佳 氏(福岡県林業技術者連絡会)